横須賀山岳会創立60周年記念登山
2008年 メラピーク(6,476m) 登山報告
(記録 鳥切)

メラピーク山頂
                    メラピーク山頂にて石川、鳥切(2008.10.5)
はじめに
 横須賀山岳会創立60周年記念事業、『メラピーク(6,476m)登山』(ネパール東部クーンブ山群南部、 アマダブラムから南下する尾根上のメラ・ラ(峠)の南西4kmにある山)を行ったので報告します。
2008年10月5日全員無事に登頂を果たしました。
尚、隊員の鳥切は、単独で頂上直下からBC上部の雪の末端までスキー滑降しました。

1.期  間 
  2008年09月25日(木)〜10月19日(日)
2.メンバー
    横須賀山岳会
 隊長:石川 誠(66才) 隊員:鳥切 昇治(68才)


3.行動記録

第1日目 9/25(木)天候:曇  成田→バンコク(日本との時差:−2時間)

 成田空港到着後、託送のバッグを受取り、タイ航空チェックインカウンターに行く。スキーやスキー靴などがあるため、 預け入れ荷物の重量オーバーを心配していた。幸いに規定内と言う事で料金を取られずに済んでホッとする。
 荷物は、カトマンズまでスルーしてもらう。(2日以内であればOK)チェックイン手続き後、見送りに来てくれた福沢氏と話をする。
 フライトは、バンコクまで順調だった。カトマンズ行きは、明日となる。2階到着ロビーのインフォーメーションでシャトルバスを聞いてホテルに向う。  ホテルは、空港から車で10分程だった。

 本郷台6:46→6:50大船7:07(NEX9号)→9:04成田空港(第一ターミナル)
 東京(成田)11:00 (TG641便)→15:30バンコク(ホテル グランドインカム泊)


第2日目 9/26(金)天候:晴  バンコク→カトマンズ(標高:1,350m)(日本との時差:−3時間15分)

 バンコク空港チェックイン時、石川氏のザックが大きいので機内に持ち込めないと言われ、計量される。 既に3ケ預けている為、シブシブOKしてくれる。空港税を買うのに手間取る。一旦、バーツにマネーチェンジしてから買う。 バンコク空港は、広くて搭乗口のC2ゲートまで10分程歩く。
 フライトは順調で、定刻にカトマンズに到着。コスモトレック社員のギャルツェンの出迎えを受けて、オフィスへ向う。 カトマンズは暑い。社長の大津二三子さんと初対面の挨拶を交わしてから打合せする。カトマンズは、昨日モンスーンが明けたそうだ。 マオイストの問題も無いとのこと。メラの状況は分らないが、マナスル、カンチェンジュンガ山域は、今年は雪が多いそうだ。 サーダーのアンタレを紹介される。
 ホテルは、オフィスから直ぐの所にある。バンコクのホテルよりましだ。夕食は、近くの日本食レストラン「ローヤルガーデン華」で食べる。

 ホテル8:30→8:40バンコク空港10:55→(TG319便)12:45カトマンズ空港→コスモトレックオフィス
→ホテル(ガンジョンホテル泊)

第3日目 9/27(土)天候:晴後曇 カトマンズ→ルクラ→チュタンガ(標高:3,020m)

  早朝の飛行機に乗るため、4:30に起きて空港へ向う。空港の外は、人で溢れている。セキュリティーチェックを受ける人達だ。 コスモトレック社員の誘導で何とか中に入る。我々二人が搭乗手続きを済ませてもサーダーのアンタレが入って来ない。 AGNI AIRの係員にせかされて飛行機に搭乗する。アンタレは乗り遅れた。
 天気は良い。左車窓に雪の山並みを見ながら谷間を縫って飛ぶ。30分程でルクラに到着。アンタレは、次の便で来ると言う。 我々のバッグも来ていない。ロッジへ案内され、そこで待つ。
 アンタレは、8:30頃着いたが、荷物が来ない。ロッジで昼食になってしまった。12:30になっても石川氏のバッグと私のスキーが届かない。 これがネパールだ?ノンビリ行こうぜ!
 ポーター達が出発して行った。雲が大分出て来た。我々もチュタンガへ向う。空港の脇から村の中を東の方に向う。 幾つか尾根を回り込み次第に上って行く。
 チュタンガは、ロッジとバッティがあり、ここが最初のキャンプサイトである。プリムラと秋のキリンソウが咲いている。 夕食は、豆腐のみそ汁、ご飯、インゲンの和え物、ホウレンソウのおひたし、キムチ、コンビーフ炒め、生野菜、酢でしめた大根、キューリ、 人参と驚きの日本食で我々を迎えてくれた。
チュタンガ
    チュタンガ

 ホテル5:20→5:40カトマンズ空港6:30→6:58ルクラ12:45→13:30ナボック13:40→
16:00チュタンガ(テント泊)

第4日目 9/28(日)天候:曇後雨  チュタンガ→カルカデン(標高:3,860m)

 スタッフを紹介する。サーダーはアンタレ(36才)、今春エベレストに登頂した。コックはバラット、キッチンボーイは3人、 ポーターは13人、それに個人ポーター(鳥切)のサンゲ。
 チュタンガから30分程登ると森林限界で、グングン高度を上げる。上の方はガスで見えない。二ピッチ強でカルカデン。 バッティが3〜4棟ある。昼食に巻き寿司が出て来た。みそ汁にご飯、野菜のマヨネーズ和え、驚きだ。おいしく頂いた。 昼食後、高度順化をしようとしたら、雨が降ってきたので待つ。私のバッグとテントが来ない。ポーターが途中で油を売っているのか?
しばらくして雨が上がったので、ツェトラ・ラまで行って来る。途中で雨となり、傘を差して登る。帰りに、 雨をもろともせずに登ってくる5人のネパール人と行き交う。カルカデンに戻りサーダーに聞くと、 9/14頃メラ・ラ東側でネパール人5人が雪崩に巻き込まれて死亡したそうで、その遺体の処理に向ったとのこと。 雨が降り続いている。モンスーンがまだ明けていないのか。

 チュタンガ7:45→9:55カルカデン(テント泊)
カルカデンからツェトラ・ラへ向かう人たち
カルカデンからツェトラ・ラへ向かう人たち

  高度順化:カルカデン13:45→14:55ツェトラ・ラ15:00→15:45カルカデン

第5日目 9/29(月)天候:ガス・雨 カルカデン→ツェトラ・ラ(標高:4,610m)→ツェトラカルカ(標高:4,300m)

 雨は降っていないが濃いガスが垂れ込めている。昨夜は雨が降り続いていた。今日は、前半の山場のツェトラ・ラを越える。 広い急な斜面をグングン登り、高度を上げる。一ピッチ登ると雨が降り出し、雨具を着ける。右にトラバースして尾根状の所を登って行くと タルチョはためくツェトラ・ラに着く。景色が良い所だろうが、ガスで何も見えない。 峠から少し下り、石だらけの道でトラバースしながらアップダウンを繰り返す。タルチョのある峠に着いた。ツェトラ・ラより若干標高が高い。
   ツェトラカルカのテントサイト
   
          ツェトラカルカのテントサイト
   雨の中ツェトラカルカ
    
          雨の中ツェトラカルカへ向かう
    
  直ぐ下にバッティがあるが閉まっていた。ここから一気に下って行く。なだらかになって、草原を右にトラバースして行くと、 眼下にツェトラカルカが見え、一気に下る。大岩が威圧するようにカルカを見下ろしている。立派なロッジが数軒ある。ロッジ内で昼食を食べ、 濡れた雨具を乾かす。
  雨の音を聞きながらテント内で休養する。石川氏は、少し頭痛がすると言う。高度の影響だろう。

  カルカデン7:30→9:05ツェトラ・ラ9:15→10:10バッティのある峠10:20→
11:10ツェトラカルカ(テント泊)     

第6日目 9/30(火)天候:晴 ツェトラカルカ→コテ(標高:4,182m)

 昨夜起きた時は満天の星だった。朝焼けがきれいだった。氷が張っていた。ルクラからここまで登山パーティに余り会わない。 快晴の中を歩く。左からの尾根を回り込むようにトラバースし、アップダウンを繰り返す。タルチョがある峠を過ぎると下り始める。 メラピークが見えて来た。フォトタイム。下るにつれシャクナゲ林の中に入る。5月は、きれいだそうだ。尚も急な道を下る。 沢の脇にバッティがあるトクトクという所に出た。昼食地のタシディンマは、ここから沢に沿ってしばらく下った所にある。 バッティがあり、メラも見える。ロッジを作っていた。
 昼食後、標高差で200m程下るとヒンクーコーラ近くに下り立つ。松とシャクナゲのジャングルの中を川に沿って上って行く。 この辺りにレッサーパンダが生息していると言う。そう言えばシノ竹が一杯ある。高捲く様に登ってから下るとコテが見えて来た。 ロッジが10数軒あろうか。

コテのキャンプサイト
    
             コテのキャンプサイト
姿を見せたメラピーク
    
             姿を見せたメラピーク

 コテ入口のロッジの所で一人の日本人と話しをする。福井県永平寺町から来たと言う松田賢二さん67才。テント場でお茶を飲みながら話をする。 マカルーBCまでトレッキングしてメラに廻って来たそうだ。ネパールは19回目で、ネパール語を流暢に話す。コテのロッジに120ルピー (以下Rsと略す 1Rs≒2円)で泊っているそうだ。元気な方で、10/16にカトマンズで会う約束をする。
 コテからもメラの頂上が見える。頂上からもコテが見えるそうだ。久し振りにシュラフを干したので気持が良い。 夕食にトンカツが出た。カラッと揚がっていて柔らかくおいしかった。豚肉は、下の村から仕入れたそうだ。

 ツェトラカルカ7:30→8:30タルチョのある峠8:40→10;00トクトク10:10→
10:35タシディンマ(標高:4,010m)11:27→14:10コテ(テント泊)     

第7日目 10/1(水)天候:晴後曇後雪後晴  コテ→タグナック(標高:4,356m)

 コテから広い川原を歩く。天気が良い。川が分岐し左のヒンクーコーラを進む。日が当ってきた。メラが見えなくなった。 谷間の奥の正面にキャシャー(6770m)、左にクスムカングルノース(6179m)イーストサミット(6356m)が見えて来た。 素晴らしい。左側の崖の下を登って行くが、落石がいやらしい所だ。崖の上に上がると草原と岩がミックスされたロックガーデンの中を歩く。 エーデルワイスが群落して咲いている。カルカのブルーシートが見えて来た。ソーレで、昼食をとる。広い川原の右岸側を緩く登って行く。

タグナックでの大雪崩
    
             タグナックでの大雪崩
イーストサミットとキャシャー
    
           イーストサミットとキャシャー

 11時を過ぎると雲が広がってきた。谷も狭まってきた。タグナックは、広い川原の一角にロッジが立ち並ぶ。バッグを開けてシュラフを干す。 突然大きな音がする。メラピーク側の峰からの雪崩だ。すごい迫力。写真を撮る。しばらくしてから風花の様な雪が降ってきた。 雪が雪崩の爆風で飛んできたようだ。松田さんが泊っているロッジへ行きチャンを飲みながら話をする。

コテ7:33→10:27ソーレ11:32→13:26ポーラ13:40→14:10タグナック(テント泊)     

第8日目 10/2(木)天候:晴 タグナック→カーレBC(標高:5,045m)

 タグナックからしばらく川原を歩き、モレーン段丘の登りにかかる。エーデルワイスが一杯咲いている。道からは見えないが、 左手奥に11年ほど前に決壊した氷河湖がある。地球温暖化で危険性が指摘されて決壊する恐れがある氷河湖が結構あるようだ。 直ぐ側に決壊した氷河湖があるというのは嫌なものだ。モレーン段丘を登り川沿いを行くと広いアブレーションバレーに出る。 眺めの良い所でメラの側壁がすごい。ここからカーレまでもう一登りする。

点在する氷河湖
    
             点在する氷河湖
メラピーク
    
             メラピーク

エーデルワイスとゲンチアナが目を楽しませてくれる。 ブルーシートを掛けた小屋が見えて来た。沢沿いを登りつめるとカーレ。ロッジが多い。カーレ上部左手のロッジの下にBCを設営する。 眺めが良く右上にメラピークも一望できる。ガスが湧いては消え、メラも見え隠れする。昼食後、裏手の尾根を散歩する。 帰りは別の尾根を下ってきたが、人が余り入っていないようで、ケシのような珍しい花が咲いていてカメラに収める。

 タグナック8:00→11:45カーレ(BC設営、テント泊)     

第9日目 10/3(金)天候:晴・曇 カーレ(BC)滞在(標高:5,045m)

   快晴の朝。メラピークの朝焼けをカメラに収める。高度順化のため、サーダーと鳥切の二人でメラ・ラまで行こうとBCを出る。 カーレ右側の尾根を登る。シーズンには、バッティが開くと言うカルカがある所を過ぎ、一登りすると氷河の末端に着く。 雪壁の左端を斜上し台地の上に出る。トレッキングシューズなのでちょっと滑り易かったが、明瞭なトレースが付いている。 メラ・ラまで岩壁下を緩やかに上って行く。トレースを外れるとクレバスが所々に口を明けている。緩く下って行くとメラ・ラ。 早く着いたのでハイキャンプまで足を伸ばすことにする。

BCを設営したカーレ
    
             BCを設営したカーレ
朝焼けのメラピーク
    
             朝焼けのメラピーク

緩やかな登りをユックリ登る。先行していた人達を追い抜く。 ガスが湧いては消え、メラピークへの雪面が続く単調な登り。左手に黒々とした岩が見えて来て、そこがハイキャンプのサイトだそうだ。 近くに見えていてもなかなか着かない。
 ハイキャンプには、岩の南側に数張のテントが張られていた。カーレから約4時間だった。
昼食の弁当を食べ引き返す。帰りは、ガスでトレースが見難くかった。カーレには、登山用具のレンタル店がある。 スキーのレンタル料金を聞いたら500Rs/日だと言っていた。   石川氏も付近の丘に高度順化を兼ねて写真を撮りに行く。

高度順化:カーレ8:36→10:35メラ・ラ(標高:5,415m)→12:34ハイキャンプ(HC)13:00 →
14:05メラ・ラ→15:30カーレ(BC)(テント泊)     

第10日目 10/4(土)天候:晴・ガス・雪 カーレ(BC)→ハイキャンプ(標高:5,780m)

    メラピークアタックの為、ハイキャンプへ向う。ポーター2名がテント他を上げてくれる。メラ・ラまで3時間。 まずまずのペースである。ガスでホワイトアウトとなり歩き難い。ランチを食べてから石川氏と別行動で歩く。 今日は登頂して下山して行った人達が多い。テントは岩陰の雪の無い所に設営する。崖の岩棚の様な所で、ウッカリすると崖下に落ちそうな所である。 ハイキャンプには、我々の他二張りあるだけ。明日頂上を目指すのは我々だけらしい。

ハイキャンプから朝のメラピーク
   
          ハイキャンプから朝のメラピーク
ハイキャンプのテント
    
             ハイキャンプのテント

テントは、3人でも十分の広さがある。一休みしてから、スキーの練習をする。春以来のスキーである。 久し振りのスキーで思うように滑れないが、プルーク系で安全に滑る練習をする。
雪が大分降ってきた。明日の天気は分らないが、スキー靴にアイゼンを着け、スキーを背負って登頂を目指す。体調は悪くないが、二人で頑張って登頂したい。 夕食後、早々にシュラフに潜り込む。

 カーレ8:10→11:10メラ・ラ11:20→13:30ハイキャンプ(テント泊)     

第11日目 10/5(日)天候:晴後ガス メラピーク(6,476m)アタック

 起床2時。外を覗くと濃いガスである。昨晩は、サラサラとテントを叩く雪の音をずっと聞いていたような気がする。兎に角、登るのだと準備するが、気が重い。 朝食のラーメンを食べる。風が出て来た。3時半頃、外を見ると満天の星になっていた。
 出発予定時刻を大幅に遅れてしまったが、HCを後にして出発する。手袋をしている手が、寒さで冷たい。一ピッチ登ると空が明るくなってきた。 振り返ると素晴らしい日の出。左手奥にエベレスト、ローツエが朝焼けする。右手奥にマカルーも見える。大パノラマだ。写真とビデオを撮る。 呼吸を止めると息苦しい。メラピークにも朝日が射し始め、焼けてきた。
 日が射してきて暖かくなってきたが、スキーとカメラが肩に食い込む。息苦しい。時々振り返っては景色を眺める。もう少しだが、ピッチが上がらない。 サーダーがスキーを持ってくれる。
エベレストとローツエ
    
             エベレストとローツエ

幸いにガスが上がって下の方まで見通せる。雪が軽い。 雪面が太陽の光を受けてキラキラ光っている。 気持ち良くターンをして行く。息苦しくなって止り、呼吸を整える。又、滑る。 下の方に来ると雪質が悪くなり滑り難くなる。傾斜も落ちて、ガスが湧いてきて視界も悪くなったので、スキーを外しのんびり下る。 HCの岩が見えて来て傾斜も増して来たので再度スキーを着け滑り始める。 視界が悪いのでトレースを外さないよう滑って行く。突然左スキーを取られて左に転倒。
気が付いたらシュルンドに落ちていた。雪は深かったが立ち上がる。落ちたのは2m程か。脱出すべく浅い所に向って歩いていると、 サーダーが顔を覗かせザイルを投げてくれ、
 引っ張ってくれた。ヤレヤレ。視界が悪い時は、怖い。HCまでスキーを担いでユックリ歩く。HCに着いて疲れたが、 満足感に浸る。石川氏も無事に帰着。夜、雪がまたテントを叩いていた。
頂上に向かう 後方マカルー
    
           頂上に向かう 後方マカルー

登り続けてきた斜面を少し下ってから、メラピークセントラルの最後の急登にかかる。両側にクレバスが開いている所を慎重に登る。 登り切ると左下にコテが霞んで見える。雪面を少し歩き頂上に立つ。360°の眺めである。
 しばらくして石川氏も登ってきた。硬い握手を交わす。小休止後、会旗を掲げて記念撮影。先程まで見えていた素晴らしい眺めは、ガスで見えなくなってきた。 下山の準備をする。スキーで頂上から滑りたい所だが、疲れもあり、安全を考えてクレバスの下から滑ることにする。フィックスしたザイルを使い、 クレバスの下まで下りる。
一休みしてからスキーを着ける。単独で滑る不安感とどんなスキーが味わえるのかと言う楽しみが交錯する。
  少し登ってから滑り始める。登って来たトレースを外さないように慎重に滑る。サーダーも心配なのかついてくる。
メラに刻んだシュプール
    
           メラに刻んだシュプール

 ハイキャンプ4:18→9:50メラピーク10:40→11:00メラピーク下11:30→13:30ハイキャンプ(HC泊)     

第12日目 10/6(月)天候:晴・ガス ハイキャンプ→カーレBC(標高:5,045m)

 朝6時前、写真とビデオ撮影。エベレストとローツエに朝日が当り、きれいだった。ガスが上がって来ない内に滑ろうとHCを出発する。 視界は良い。昨夜降った雪が新雪となり、快適に滑る。メラ・ラまでアッという間に着いてしまった。振り返ると、もうガスが斜面を覆いだした。 ラッキー。メラ・ラから少し登る。トレースが新雪と風で埋っている。ガスも出てきて、かすかなトレースを辿り歩く。下りに入った。 クレバスに気を付けながら雪田の末端まで来た。ここから急斜面となる。トレースから外れ右の岩壁寄りを滑る。

BCに帰着
   
             BCに帰着
HCからエベレスト・マカルー遠望
   
         HCからエベレスト・マカルー遠望

 40〜45°の斜面が50mほどあろうか、ジャンプターンで抜ける。所々岩が出ているので慎重に滑り、雪面の末端に着く。 シーズンにバッティが開くと言うカルカがある所の直ぐ上である。今日もご機嫌のスキーであった。コーヒーを飲みながら満足感に浸る。 スキー靴を登山靴に履き替え、スキーをザックに付け、BCに向け歩き始める。途中、サンゲがHC撤収を終え、戻って来て、スキーを持ってくれる。 カーレにテントが増えた。
 午後は、雪が時々舞う。石川氏もBCに帰って来た。

  ハイキャンプ8:40→8:50メラ・ラ8:55→9:30滑降終了点10:30→11:15カーレBC(テント泊)     

第13日目 10/7(火)天候:ガス・晴・雪 カーレBC滞在

 今日はBCに滞在し、明日からの下山に備え休養する。昨晩の雪でうっすらと雪化粧。ガスも上がり日が射してきた。 午前中、洗髪と髭剃りをしたのでサッパリした。午後は又、ガスに覆われ時折雪が舞う。下山に備えてスキーなどの荷物纏めをする。

BCのアンタレと石川

              BCのアンタレと石川

    

第14日目 10/8(水)天候:晴後曇後雨 カーレBC→タグナック→コテ

 昨晩、星の写真撮影と日の出の写真撮影をしたので寝不足気味。今朝は冷え込んだ。今日は、登ってくる欧米系の外人の姿が多く見受けられる。 タグナックに下る途中、サーダーと二人で決壊した氷河湖(サバイ湖)を寄り道して見て来る。タグナックはテントが花盛り。ポーラで石川氏に追いつく。 下りは楽だ。
 今朝、ルクラでイエティーの飛行機が着陸に失敗、炎上し、17人が死亡、1人が重傷というニュースをサーダーがラジオで聞き、教えてくれる。
乗客は、ドイツ人とネパール人とのこと。我々が乗る飛行機にどのような影響が出るのか心配だ。

決壊した氷河湖

             決壊した氷河湖
タグナックへ下る

             タグナックへ下る

 来る時のソーレで昼食。ソーレを出発して間もなく雨が降り出した。雨はコテに着いても止まなかった。
 コテも大勢の人。食事はロッジ内でする。フランス人のグループで誕生日の人がいて賑やかだった。

カーレBC7:50→9:25氷河湖9:38→10:10タグナック10:15→10:32ポーラ10:35→
11:35ソーレ13:10→14:54コテ(テント泊)     

第15日目 10/9(木)天候:晴・ガス後雨・雪 コテ→ツェトラカルカ

 夜、満天の星。朝、メラが良く見えた。ヒンクーコーラに沿ってジャングルの中を下る。以前のタシディンマは、氷河湖の決壊で流されたそうだ。 タシディンマまで登る。タシディンマで昼食の予定であったが、大勢の人で沢の側にバッティがあるトクトクまで行くことにする。 途中、アドベンチャーガイズの日本人グループ8人と会う。2人がスキーをするという。情報交換し、健闘を祈って分かれる。昼食後、シャクナゲ林の急坂を登る。 途中から1人で先行して歩く。タルチョはためく峠に着く。ガスが次々に上がってくる。時折ガスが切れて、岩と色付いた草木がミックスした ロックガーデン風の中をツェトラカルカに向う。

ツェトラカルカのキャンプサイト

         ツェトラカルカのキャンプサイト
ツェトラカルカ

             ツェトラカルカ

  ツェトラカルカにもテントが目立つ。我々が使っているテントと同じブルーのテントが数張、 張ってあったので聞いてみると、京都の皆子山岳会7名のグループだそうだ。コスモトレックのガイドのディアン・バハドール・ライさんと話をする。
 雨が降り出し、夕方から雪に変る。夜は雪も上がり満天の星だった。

 コテ7:47→10:00タシディンマ10:20→10:50トクトク12:20→13:40タルチョのある峠13:50→
14:25ツェトラカルカ(テント泊)     

第16日目 10/10(金)天候:晴後曇・ガス ツェトラカルカ→ツェトラ・ラ→チュタンガ→ルクラ

 昨晩、星空の写真撮影をしたが、月が出ていて沈むのが遅く参った。ツェトラカルカは、日が当るのが早い。タルチョのある峠まで急坂を登る。 峠でサンゲを待って、西側の雪の山並み(ノンボール山)の写真を撮る。来る時は、天気が悪く全く景色が見えなかった所である。 日陰には雪が残っている。一旦下ってガラ場をトラバースし、再び登るとツェトラ・ラ。眺めの良い所である。写真を撮ってから下りにかかる。 ツェトラ・ラ直下は、昨日の雪が圧雪されて滑る。転倒すれば谷へ転げ落ちてしまいそう。慎重に下る。日向に出てホッとする。カルカデンが真下に見える。 飛行機のブーンと言う音が聞こえる。ルクラに離着陸している飛行機のようだ。カルカデンで昼食。昼食後、今日の宿泊地は、チュタンガだったが、 時間も早いのでサーダーと相談し、ルクラまで行くことにする。

ルクラで打ち上げ

             ルクラで打ち上げ
カルカデン

             カルカデン

 下るに従いガスが濃くなってきた。チュタンガはガスの中。ルクラに近づくと空も明るくなる。飛行場の滑走路が光って見える。村中に入る。 事故があったというのに意外と静かである。飛行場の脇を抜けロッジに入る。夜、ロッジで打上げを行う。ロッジに信州大OBの佐藤さんが滞在していて、 チャンを飲みながら話をする。カンテガの北壁(1000mの氷壁)を登ると言う。バングラデシユ航空を利用したのだが、 相棒のバッグが誤ってニューデリーに行ってしまい、カトマンズで相棒がバッグの到着を待っていると言う。話を聞くと、 若手の先鋭的なクライマーで、彼は好青年である。

 ツェトラカルカ7:53→9:45ツェトラ・ラ10:00→10:40カルカデン12:06→13:14チュタンガ13:22→
13:40トクディン→15:20ルクラ→15:30ロッジ(サウスコルガーデンロッジ泊)
    

第17日目 10/11(土)天候:晴 ルクラ→カトマンズ

 早朝の便でカトマンズに飛ぶことが出来た。空港で迎えの車が来なくて待つ。その足でコスモトレックのオフィースへ向う。 大津さんが迎えてくれた。明日から10/18までどう過ごすか相談する。
 カトマンズのホテルは、観光客ラッシュでどこも満杯だそうだ。帰国便のチケットは、Mチケットで変更が出来ない。 鳥切は、明日の便のチケットが取れれば帰国することにする。
 信州大OBの横山さんに会う。バッグは、まだ届いていないと言う。彼も好青年である。
 ホテルにチェックインし、一休みしてからタメルへ買物に出掛ける。コスモトレックの車でホテルからタメルまで送ってもらう。歩くと20分ほどかかる。
 夕方、コスモトレックへ行く。チケットが取れたそうだ。アドベンチャーガイズの平岡竜石さんがいて、話を聞く。 マナスルに6名中4名(いずれも60代)が登頂したとのこと。マナスルは、天候が悪く、4日間の晴天を逃さずアタックして登頂したそうだ。
チュタンガ

              ルクラの俯瞰

ルクラ7:04→(AGNI AIR)→7:33カトマンズ→コスモトレック→ホテル(ガンジョンホテル泊)

第18日目 10/12(日)天候:晴 鳥切帰国
 朝、コスモトレックへ行き航空券の購入と支払いを済ませる。アドベンチャーガイズの近藤謙司代表と話をする。 マナスルを登頂した愛知県豊橋市の磯田さんが同じ飛行機でバンコクへ行くとのこと。
 同じホテルに宿泊していた磯田さんと一緒に空港に向う。磯田さんと一緒にチェックインしたので重量オーバーしないで済んだ。 タイ航空のマイレージカードのシルバーを持っていたので、OKだったようだ。磯田さんに感謝。バンコクまで同席し、マナスルの話などを聞いた。 磯田さんとは搭乗ゲートが違う為、バンコクで別れた。

 ホテル11:10→11:40カトマンズ空港14:00→(TG320便)→18:38バンコク22:10→(TG641便)→成田     

第19日目 10/13(月)天候:曇後晴 鳥切帰国
成田に定刻前に到着。バッグを宅配に預け、快速で帰路に着く。休日のせいか電車は空いていた。

→(TG641便)→6:05成田空港7:00→(快速)→9:20大船9:22→9:26本郷台

*6日後の10/19、当初の予定通り石川氏が無事帰国。カトマンズ滞在中、ポカラ(ダンパス)へ行き、又、松田氏と再会して買物や食事をしたそうである。     

4.後記
 メラピークに登頂、スキー滑降をし、無事に帰国出来たのは成果であった。高度順化も上手く行き、予定より8日早くカトマンズに戻れたのは、 体調を崩さなかったからだと思う。要因としては、食事が良かったことである。日本食もどきとはいえ、下痢もせずに、三度の食事がおいしく 食べられたことは体調維持につながったと思う。コスモトレックに感謝したい。
 カトマンズは、王政廃止以降、マオイストの影響が無くなったのか観光客が非常に多いと感じた。ホテルもなかなか取れないそうだ。 韓国人、ヨーロッパの人達が多いそうで、日本人は、ネパールの政治情勢に反応が鈍いようだ。

メラピーク スキー滑降記録(PDF)
血中酸素濃度記録資料(PDF)
   

 


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